しばられ地蔵

　南蔵院の境内に縄でぐるぐる縛られたお地蔵様がある。

　大岡裁きの故事に由来するもので、このお地蔵様を縛る
と盗難除けや厄払いになるという。

　南北朝時代に今の墨田公園付近に建てられ、関東大震
災後に寺とともに移転してきた。

　

故事のさわり

　「日本橋の呉服間屋の手代が大八車に反物を積んで、南蔵院の門前で一休み。
目をさますと、反物は車ごときれいになくなっていた。

　取調べに当たった町奉行の大岡越前は、「反物が盗まれたのを見すごすとは、
門前の地蔵も同罪である。縄打って引っ立てて参れ」と命じた。地蔵さまは荒縄で
ぐるぐる巻きにされ、大八車に乗せられて奉行所へ運ばれた。

　前代未聞のお地蔵様の引き立てに、物見高い江戸っ子はぞろぞろとついて行く。
やがて、ころを見て越前守は門をしめさせ、「奉行所の白州へ乱入するとは不届至
極、その罰として反物一反を納めよ」と命じる。

　江戸っ子たちは驚いて、なんとか反物を持ってくる。呉服屋がその反物をチェック
すると、盗まれた反物が発見され、盗人一味は一網打尽。　　これにて一件落着。」

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（東京都　葛飾区　金町、水元）

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